会議や取材のあと、録音を聞き直しながら手で打ち込む。あの作業に1時間以上を溶かしてしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。話した内容をそのままテキストにしてくれる「文字起こしAI」を使えば、その時間の大半を取り戻せます。しかも、はじめの一歩はお金をかけずに踏み出せます。

この記事がいちばん答えたいのは「無料で使えるのはどれか」です。とくに、まだ有料契約に踏み切る前の個人・在宅ワーカー・未経験の方が、自分の音声で精度を確かめてから判断できるよう、無料枠の広さと使いやすさを最優先に整理しました。

結論から先にお伝えします。とにかく無料で試すなら、月120分まで使えるNottaの無料枠か、無料枠が月300分と広いLINE WORKS AiNoteが現実的な入口です。そのうえで、日本語の聞き取りやすさと要約まで重視するならRimo Voiceが有力な乗り換え先になります。「完全無料で済ませたい」「録音ファイルを大量に処理したい」など条件によって最適解は変わるので、まずは無料で触ってから決めるのが安全です。

この記事では、文字起こしAIの主要7サービスを「精度・料金・無料枠・セキュリティ」の4基準で横断比較します。無料で使えるのはどれか、編集部が同じ会議音声を試すときに見ている精度の観点、会議・取材・YouTube字幕といった目的別のおすすめ、さらにアプリではなく専用ボイスレコーダーという選択肢まで整理しました。読み終えたとき、自分が次に試すべき1つが決まっている状態を目指します。

編集部注記:本記事の料金・無料枠・精度は2026年6月時点で各公式サイトを確認した内容です。これらの条件は変動します。最新の情報は必ず各サービスの公式ページでご確認ください。また、会議や取材には個人情報・機密情報が含まれる場合があります。録音データをクラウドへアップロードする際は、各サービスの利用規約・プライバシーポリシー、および所属組織のルールを必ずご確認ください。

文字起こしAIの選び方|4つの基準で迷いを減らす

サービスの数は多いですが、見るべきポイントを絞れば選択はぐっと楽になります。次の4つの基準で考えてください。

1. 精度(日本語の聞き取りの正確さ)

最重要は、やはり文字起こしの正確さです。雑音の少ない静かな環境での1人の発話なら、最近のサービスはどれも実用レベルに達しています。差が出るのは「複数人が同時に話す」「専門用語が多い」「電話やオンライン会議の音質が悪い」といった難しい場面です。

なお、どのサービスも誤変換はゼロにはなりません。固有名詞や数字は、最後に人の目で確認する前提で使うのが安全です。

精度は数値だけを見ても比べにくいので、後ほど「編集部が同じ会議音声を試すときに見ている精度の観点」の章で、どんな場面で各社の得意・不得意が表れるかを整理します。無料枠を使えば自分の音声でも同じ観点でチェックできます。

2. 料金(月額と費用対効果)

個人向けの有料プランは月1,000〜5,000円程度が相場です。判断のコツは「月に何分/何時間ぶん文字起こしするか」を先に見積もること。月に数回の打ち合わせ程度なら無料枠や安いプランで足り、毎日のように使うなら時間無制限に近いプランの方が割安になります。

3. 無料枠(試せる範囲)

ほとんどのサービスは無料枠を用意しています。ただし「月◯分まで」「1回◯分まで」と上限が異なります。まずは無料枠で自分の音声を試し、精度と使い勝手を確かめてから有料化するのが失敗しない順番です。無料で始められるAIの考え方は無料で使えるAIおすすめ6選とも共通します。

4. セキュリティ(機密の取り扱い)

会議の音声には社外秘が含まれることが少なくありません。「アップロードしたデータをAIの学習に使わない」と明記しているか、保存場所や削除方法はどうかを確認しましょう。組織によってはクラウド送信そのものを禁じている場合もあるため、社内ルールの確認も忘れずに。

文字起こしAIアプリおすすめ7選を比較

ここでは主要7サービスを一覧にまとめます。無料枠・料金・特徴・向く人を横並びで確認してください。料金はいずれも個人向けの目安で、税込・月額表記です。

サービス 無料枠の目安 料金の目安(個人) 精度・特徴 向く人
Notta 月120分(1回3分まで) プレミアム 月1,980円(月1,800分まで・目安) 日本語含む多言語に対応、アプリ・Web両対応で手軽 まず気軽に試したい人
Rimo Voice 新規登録で一定時間お試し可 文字起こしのみ1,650円/要約込み4,950円(目安) 日本語特化、要約・話者分けに強い 取材・会議をきれいに残したい人
LINE WORKS AiNote(旧CLOVA Note) 月300分(個人向けフリー) 上位プランあり(要確認) 話者分離・キーワード抽出。無料枠が広い 無料で長めに使いたい人
Whisper(OpenAI) モデル自体は無料・オープンソース ローカル実行は無料/API利用は従量課金 高精度だが導入に技術知識が必要 自分で環境を作れる人
Googleドキュメント 音声入力 完全無料 無料 マイクへの発話をリアルタイム文字化。録音ファイルは不可 その場のメモ・口述筆記
Microsoft Word トランスクリプト Microsoft 365契約者向け Microsoft 365 個人 月1,490円など(目安) 録音ファイルも文字化可。月300分まで Officeを使い慣れた人
tl;dv 無料プランで録画・文字起こし可(AI要約は回数上限あり) Pro 月18ドル〜(目安) Web会議の録画と要約に特化、多言語対応 オンライン会議が多い人

上の数値は2026年6月時点で各公式を確認した目安です。プラン改定が頻繁なため、契約前に必ず最新の公式料金ページをご確認ください(出典は各章末にまとめています)。

なお、議事録づくりそのものを効率化したい方は、文字起こしから要約・整形までを一気通貫で扱うAI議事録ツール比較(個人・フリーランス4選)も合わせてご覧ください。本記事は「音声をテキストにする」アプリそのものの比較に軸足を置いています。

編集部が同じ会議音声を試すときに見ている精度の観点

「精度が高い」と書かれていても、何をもって高いのか分からないと比べようがありません。そこで編集部では、各サービスを比較するとき、同じ1本の音声(社内ミーティングを想定した約30分の録音)を各社に通し、次の観点で結果を見比べるやり方をとっています。ここで大切なのは、サービスごとに一律の正解率を出すことではなく、「どんな場面でつまずきやすいか」を把握することです。

なお、各社の精度は録音環境・話し方・専門分野によって大きく変わるため、本記事では順位づけの数値は載せていません。代わりに、自分の音声を無料枠で試すときにそのまま使えるチェック観点としてまとめます。実際の精度はぜひご自身の音声で確かめてください。

観点1:専門用語・固有名詞の取りこぼし

業界用語、製品名、人名、社名は、どのサービスでも誤変換が起きやすい部分です。チェックするときは、自分の仕事でよく出る単語を10個ほどリストにしておき、文字起こし後に何個が正しく変換されたかを数えると、サービス間の差が一目で分かります。日本語特化をうたうサービス(Rimo Voiceなど)は、一般的な日本語の言い回しに強い傾向がありますが、ニッチな専門用語まで完璧に拾えるわけではありません。

観点2:複数話者の聞き分け(話者分離)

会議では「誰が話したか」を分けてくれる話者分離が効いてきます。発言がかぶったとき、相づちが多いとき、声質が似た人が並んだときに、話者の割り当てがどれだけ崩れないかを見ます。話者分離を機能としてうたうサービス(Rimo Voice、LINE WORKS AiNoteなど)でも、発言の重なりが多い議論では取り違えが起きるため、最終的に名前を振り直す前提で使うのが現実的です。

観点3:雑音・回線品質への強さ

カフェの環境音、エアコンの音、オンライン会議の音切れなど、音質が悪い場面で文字化がどれだけ崩れないかを見ます。静かな環境では各社ほぼ互角でも、悪条件では差が開きやすい部分です。録音そのものの質を上げたい場合は、後述の専用ボイスレコーダー(マイク性能で有利)が選択肢に入ります。

観点4:要約・整形の使いやすさ

文字起こしはゴールではなく、たいていは「読める議事録」に整えるまでがセットです。誤変換の直しやすさ、要約の的確さ、見出しや箇条書きへの整形のしやすさも、実務では精度と同じくらい効いてきます。要約まで一体で扱いたい方は、文字起こしと要約の連携を比べたAI議事録ツール比較(個人・フリーランス4選)も参考になります。

検証についての注記:上記は編集部が比較時に用いる「見るべき観点」の整理です。録音環境や発話内容によって結果は大きく変わるため、特定サービスの正解率といった数値は本記事では提示していません。各社の公表値や仕様は各章末の出典をご確認のうえ、最終判断はご自身の音声での無料お試しをおすすめします。

無料で使えるのはどれか

「とにかくお金をかけずに試したい」「まだ仕事で使うか分からないので、いきなり課金はしたくない」という個人・在宅・未経験の方に向けて、無料で使える選択肢を整理します。無料枠の広さと手軽さで選ぶなら、まずはNottaLINE WORKS AiNoteの無料プランが現実的な入口です。どちらもクレジットカード登録なしで始められるので、最初の一歩のハードルが低いのが利点です。

手軽さ重視ならNottaの無料枠

Nottaの無料プランは、月120分まで文字起こしができます。ただし1回あたりは3分までという制限があるため、長い会議をまるごと処理するというより、短い打ち合わせや音声メモ、立ち話の記録に向いています(出典:Notta公式 https://www.notta.ai/en/pricing /ヘルプセンター https://support.notta.ai/hc/ja )。スマホアプリとWebの両方で使え、登録もすぐ済むので「文字起こしAIを初めて触る」入口として扱いやすいのが利点です。無料枠で物足りなくなったら、1回あたりの上限が大きく外れる有料のプレミアムプラン(月1,980円前後・月1,800分まで文字起こし可が目安)へ切り替える、という段取りが無理なく進められます。

無料枠の長さ重視ならLINE WORKS AiNote

旧CLOVA Noteから正式版へ移行したLINE WORKS AiNoteは、個人向けの無料プランで月300分まで文字起こしが可能です。話者の区別やキーワード抽出にも対応しており、無料枠としては比較的広めです(出典:LINE WORKS公式 https://line-works.com/ /CLOVA Note公式 https://clovanote.line.me/ )。なお、旧CLOVA Noteのβ版は2025年7月末で終了しているため、これから使う場合は正式版を選んでください。

完全無料で高精度を狙うならWhisper、その場メモならドキュメント標準機能

費用ゼロにこだわるなら、OpenAIが公開する音声認識モデルWhisperも選択肢です。オープンソースで、自分のパソコンやGoogle Colab上で動かせば料金はかかりません。日本語の精度も実用レベルとされますが、導入には多少の技術知識が必要で、誰にでも手軽とは言いにくい点に注意してください(出典:OpenAI Whisper https://github.com/openai/whisper )。

「その場で話した内容をメモにしたい」だけなら、Googleドキュメントの音声入力が完全無料で使えます。Googleアカウントだけで始められますが、マイクへの発話をリアルタイムで文字化する仕組みのため、録音済みファイルのアップロードには対応していません(出典:Google ドキュメント ヘルプ https://support.google.com/docs )。口述筆記やアイデア出しのメモには十分実用的です。

目的別おすすめ|会議・取材・YouTube字幕

同じ文字起こしでも、用途によって向くサービスは変わります。代表的な3つの場面で整理します。

会議(社内・対面)の議事録づくり

複数人が発言する会議では、「誰が話したか」を区別できる話者分離が効いてきます。日本語の聞き取りやすさと要約のしやすさを重視するならRimo Voiceが有力です。文字起こしだけなら月1,650円、AI要約まで含むプロプランは月4,950円が目安で、すべてのプランで入力データをAIの学習に使わないと明記されています(出典:Rimo Voice公式 https://rimo.app/about/voice/plans )。機密性の高い会議でも判断材料にしやすい点は安心材料です。録音から要約・配布までの流れはClaudeの使い方(仕事の長文要約)と組み合わせると、さらに時短できます。

取材・インタビューの書き起こし

一字一句を正確に残したい取材では、日本語特化で校正しやすいRimo Voiceや、手軽なNottaが候補になります。インタビューは1時間を超えることも多いため、無料枠ではなく時間に余裕のある有料プランを選んだ方がストレスが少なくなります。固有名詞や専門用語は誤変換が起きやすいので、書き起こし後に人の目で整える前提で運用しましょう。

YouTube字幕・動画コンテンツ

動画やオンライン会議の録画から字幕を作りたい場合は、Web会議の録画と文字起こし・要約に特化したtl;dvが便利です。無料プランでも録画と文字起こしの主要機能が使え、多言語にも対応しています。ただしAI要約は無料プランだと利用回数に上限が設けられているため、要約を多用するなら有料のProプラン(月18ドル前後が目安)への切り替えを見込んでおくと安心です(出典:tl;dv公式 https://tldv.io/app/pricing/ )。すでにMicrosoft 365を契約しているなら、Wordのトランスクリプト機能で録音ファイルを月300分まで文字化する手もあります(出典:Microsoft サポート https://support.microsoft.com/ )。

自分の仕事のどの場面でどのAIを使うべきか全体像をつかみたい方は、業務別AI使い分けマップも参考になります。

アプリ vs 専用機(ボイスレコーダー)という選択

文字起こしは「アプリ+スマホ」だけでなく、専用のAIボイスレコーダーという選択肢もあります。代表的なのがPLAUD NOTEなどの機器です。

専用機の利点は、録音に特化したマイク性能と、ボタンひとつで録音から文字起こし・要約まで完結する手軽さにあります。PLAUD NOTEは本体が買い切りで、目安として本体が2万円台後半(標準モデルで27,500円前後)、上位機は3万円台という価格帯です。新規購入時は毎月一定時間ぶん(スターターで月300分が目安)の文字起こしが無料で付属し、それ以上使うには別途サブスクリプションが必要になる形が一般的です(出典:PLAUD公式 https://www.plaud.ai/ /日本公式 https://jp.plaud.ai/ )。

一方で、「スマホのアプリで十分」という声も根強くあります。日々の打ち合わせ程度なら、まずはNottaやRimo Voiceなどのアプリを無料枠で試し、それでも物足りない・録音品質に不満がある場合に機器の購入を検討する、という順番が無駄がありません。本記事はアプリ比較が主眼のため、専用機についてはここでは入口の紹介にとどめます。PLAUDをはじめとする機器どうしの本体価格・サブスク総額の比較は、専用記事のAIボイスレコーダーおすすめ比較で詳しく扱っているので、機器寄りで検討したい方はそちらをご覧ください。

文字起こしAIを使うときの注意点

便利な一方で、使い方を誤るとトラブルにつながります。導入前に次の3点を押さえてください。

機密情報の取り扱いとクラウド送信

最大の注意点はセキュリティです。録音データをクラウドにアップロードする以上、機密情報の取り扱いは各サービスの規約に従う必要があります。「学習に使わない」と明記されているか、所属組織がクラウド送信を許可しているかを必ず確認しましょう。判断に迷う場合は、社内で完結するローカル実行型(Whisperなど)を検討する選択肢もあります。

精度を過信しない

どんなに高精度でも、誤変換はゼロになりません。特に固有名詞・数字・専門用語は間違いやすい部分です。文字起こし結果はあくまで下書きと捉え、公開や提出の前に人の目で確認する運用を徹底してください。

無料枠の上限と更新タイミング

無料枠は「月◯分」「1回◯分」と上限が設定されています。長時間の会議を無料枠で処理しようとして途中で止まる、というのはよくある失敗です。事前に自分の使う頻度と時間を見積もり、足りなければ早めに有料プランへ切り替えましょう。

まとめ|まずは無料枠で1つ試すのが正解

文字起こしAIは、選び方の基準さえ押さえれば難しくありません。最後に要点を整理します。

  • 選ぶ基準は「精度・料金・無料枠・セキュリティ」の4つ。先に「月に何分使うか」を見積もると料金プランを選びやすくなります。
  • まず無料で試すなら、手軽さのNotta(月120分)か、無料枠の広いLINE WORKS AiNote(月300分)が入口として扱いやすいです。
  • 目的別では、会議・取材で日本語と要約を重視するならRimo Voice、オンライン会議・動画ならtl;dv、その場メモならGoogleドキュメント、という使い分けが現実的です。
  • 完全無料・高精度を狙うWhisperや、専用ボイスレコーダーという選択肢もありますが、まずはアプリの無料枠で自分の音声を試してから判断するのが失敗しない順番です。

迷ったら、今日のうちにNottaかRimo Voiceの無料枠に自分の録音を1本だけ入れてみてください。精度と使い勝手が体感できれば、有料化すべきかどうかの判断は驚くほど簡単になります。議事録の自動化まで踏み込みたい方はAI議事録ツール比較(個人・フリーランス4選)へ、無料AI全般を見渡したい方は無料で使えるAIおすすめ6選へ進むと、次の一歩がはっきりします。