人事の仕事を分解すると、求人票、評価コメント、面接質問の設計、会議の議事録、入社オリエンテーション資料、退職面談記録など「文章を書く・整える・要約する」業務がかなりの割合を占めます。これらは ChatGPT が得意な領域です。本記事では、求人票のプロンプトや評価コメントの例文、議事録のまとめなど、人事担当者がそのまま頼める業務別プロンプト10例を、それぞれの「出力イメージ(生成結果がどんな文章になるかの例)」つきで整理します。個人情報を入れない安全配慮までまとめて解説します。

※本記事は2026年6月時点の ChatGPT 仕様・公的ガイドラインに基づきます。本記事のケーススタディは編集部が複数事例から構成した想定ペルソナです。最新の料金・機能はOpenAI公式のChatGPT 料金ページでご確認ください。掲載の「出力イメージ」は、各プロンプトで生成される文章のイメージを編集部がテキストで再現した例であり、実際の出力は入力内容やモデルにより異なります。

求人票や議事録など、人事の文章業務でChatGPTはどこまで使える?

結論として、「定型文章の草案づくり」では大きく効き、「最終判断(採否・評価ランク)」は人間が担うという分担です。

人事業務は「文章作成」と「判断作業」が混在しています。求人票の文面、評価コメントのたたき台、面接質問の候補出し、会議の議事録要約、入社案内メールなどはChatGPTで一気に短縮できます。一方、「この候補者を採用するか」「このメンバーの評価ランクをBにするかB+にするか」のような最終判断は人間(人事責任者・配属先マネジャー)の領域です。

ケーススタディ:30代人事担当者のDさんの場合、求人票1本の原稿作成が60分前後だったところ、求人票 ChatGPT プロンプトの型を整備したことで15〜20分で草案が固まるようになったとのことです(編集部が複数事例から構成した想定ペルソナ)。短縮幅は職種の専門度や社内承認フローによって変わります。

参考として、厚生労働省は毎月「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」を公表しており、有効求人倍率など人事業務の前提となる指標が確認できます。求人票の作成本数が多い企業ほど、ChatGPT による草案化の効果は大きくなります。

人事の文章業務ChatGPTプロンプト10例文(出力イメージつき)

すべてのプロンプトに共通の前提:

  • 私は人事担当、30代会社員
  • 業界はIT(必要に応じて自分の業界に置き換え)
  • 自然なビジネス日本語で
  • 個人名・社員ID・候補者の連絡先など個人情報は伏字(A氏、Bさん等)で投入する

プロンプト1:求人票 ChatGPT プロンプト(文面ドラフト)


新規求人票の本文を書いてください。
職種:バックエンドエンジニア(中途・正社員)
経験:3〜5年
業務内容:自社プロダクトのAPI設計・実装、レビュー、新人OJT
求める人物像:チームで設計議論ができる方
歓迎条件:AWS実務/Go・Python
トーン:堅すぎず、共感を呼ぶ
構成:仕事内容/必須要件/歓迎要件/チーム紹介/メッセージ
文字数:合計800字程度

出力イメージ(生成結果の例・抜粋)

【仕事内容】 自社SaaSプロダクトのバックエンド開発を担っていただきます。API設計から実装、コードレビュー、そして新しく加わるメンバーのOJTまで、幅広く関わるポジションです。一人で抱え込むのではなく、チームで設計を議論しながら進める文化を大切にしています。 【必須要件】 ・Webアプリケーションのサーバーサイド開発経験 3〜5年 ・設計や実装方針についてチームで対話できる方 【歓迎要件】 ・AWSを使った実務経験/Go・Pythonでの開発経験 【メッセージ】 「作って終わり」ではなく、長く使われる仕組みを一緒に育てたい方をお待ちしています。

プロンプト2:評価コメント ChatGPT 例文(半期評価の草案)


半期評価の上司コメント草案を書いてください。
対象:入社2年目・営業職・成績は目標達成率105%
強み:顧客対応の丁寧さ、新規開拓力
改善点:見積もりの精度、社内連携
本人へのメッセージ:来期は単独で大型案件を担当してほしい
トーン:客観的・前向き
文字数:300字、3パラグラフ

出力イメージ(生成結果の例)

今期は目標達成率105%と、安定した成果を残しました。特に顧客対応の丁寧さは取引先からの信頼につながっており、新規開拓でも着実に成果を積み上げた点を高く評価します。 一方で、見積もりの精度には改善の余地があります。提示後の修正がたびたび発生しており、初期段階での確認をより丁寧に行うことで、社内連携の負担も軽減できるはずです。 来期は、これまで培った顧客基盤を土台に、単独での大型案件の担当を期待しています。一段上の役割への挑戦を後押ししていきます。

プロンプト3:面接質問 ChatGPT 例(質問リストの設計)


中途採用の1次面接で使う質問リストを10問作ってください。
職種:マーケティングマネジャー候補
評価したい観点:戦略思考、実行力、チームビルディング、自社カルチャー適合
質問形式:オープン質問7問+深掘り質問3問
注意:差別的・私的領域に踏み込む質問は除外

出力イメージ(生成結果の例・抜粋)

【戦略思考】 1. これまで担当した施策の中で、最も「打ち手の優先順位」に悩んだケースを教えてください。(オープン) 2. その判断の前提となった数字や仮説は何でしたか。(深掘り) 【実行力】 3. 計画どおりに進まなかったプロジェクトを、どう立て直しましたか。(オープン) 【チームビルディング】 4. メンバーの強みを引き出すために意識していることは何ですか。(オープン) 【カルチャー適合】 5. どんな職場環境だと最も力を発揮できると感じますか。(オープン)

プロンプト4:入社オリエンテーション資料の章立て


新卒入社向けオリエンテーション資料(1日目)の章立てを作ってください。
含めるテーマ:会社概要、就業規則、評価制度、福利厚生、IT環境、初週の動き
時間配分:合計4時間、休憩2回
各章に伝達ポイント3つを箇条書きで

出力イメージ(生成結果の例・抜粋)

1. 会社概要(30分) - 事業の全体像とミッション - 自部署が会社の中で果たす役割 - 1年後に期待する姿 (休憩10分) 2. 就業規則の基本(30分) - 勤務時間・休暇のルール - 報告・連絡・相談の窓口 - 困ったときの相談先 3. 評価制度の概要(40分) - 評価のサイクルと観点 - 目標設定の進め方 - 評価結果のフィードバック方法

プロンプト5:退職面談 質問 ChatGPT(質問テンプレート)


退職面談で本音を引き出す質問テンプレートを10問作ってください。
目的:離職原因の構造化、組織改善ヒントの抽出
注意:詰問にならない/辞める意思を覆さない/心理的安全性を確保
形式:オープン質問8問+クロージング2問

出力イメージ(生成結果の例・抜粋)

1. 入社当初に期待していたことと、実際とのギャップがあれば教えてください。 2. 今回の決断に至るうえで、一番大きかった理由は何でしたか。 3. 振り返って、会社がこうしていれば違ったかも、と思う点はありますか。 4. 業務量や役割について、負担に感じていた部分はありましたか。 (クロージング) 9. これまでの貢献に心から感謝しています。最後に伝えておきたいことはありますか。 10. 今後も良い関係を続けられればと思います。連絡を取りやすい方法はありますか。

プロンプト6:配置転換通知の文面


配置転換の本人向け通知メール文面を書いてください。
対象:開発部から事業企画部へ異動
本人の状況:本人の希望ではない、業務上の必要性
配慮点:これまでの貢献への感謝、新部署での期待、相談窓口の明示
トーン:誠実、ビジネスライク
文字数:400字

出力イメージ(生成結果の例・抜粋)

○○さん このたび、○月○日付で開発部から事業企画部へ異動いただくことになりました。本決定は業務上の必要性に基づくものであり、これまで開発部で積み重ねてこられた成果と貢献を高く評価したうえでの判断です。 事業企画部では、開発の現場を知るあなたの視点が、より広い意思決定に活かされると期待しています。新しい環境での不安や疑問があれば、いつでも人事(担当:△△)までご相談ください。 引き続き力を発揮いただけるよう、サポートしてまいります。

プロンプト7:社内研修案内メール


全社員向けに「生成AI活用研修」の案内メールを書いてください。
日時:来月15日・14時〜16時、オンライン
講師:外部講師(ChatGPT実践)
参加:原則必須、業務都合での欠席は録画視聴
申込:社内ポータルから10日前まで
トーン:明るく、参加意欲を引き出す
文字数:250字

出力イメージ(生成結果の例)

【全社員のみなさまへ】生成AI活用研修のご案内 日々の業務にChatGPTをどう活かすか、外部講師を招いた実践研修を開催します。 ・日時:○月15日(○)14:00〜16:00/オンライン ・内容:明日から使えるChatGPT活用のコツ 原則ご参加をお願いしますが、業務都合で難しい場合は後日録画でご覧いただけます。 お申し込みは社内ポータルから、開催10日前までにお願いします。 「AIは難しそう」という方こそ、ぜひこの機会に。お待ちしています。

プロンプト8:社内表彰スピーチ原稿


社内年間表彰の授与スピーチ原稿を書いてください。
受賞者:営業部チーム(5名)
功績:新規プロダクトの初年度売上1.2億円達成
強調したい点:チームワーク、若手の挑戦、失敗からの学び
時間:3分(約900字)
トーン:温かい、しかし社内表彰として節度を保つ

出力イメージ(生成結果の例・抜粋)

本年の年間表彰は、営業部の5名のチームに贈ります。 新規プロダクトの初年度売上1.2億円という数字は、決して順風満帆な道のりの結果ではありませんでした。立ち上げ当初は手応えの薄い時期もあり、何度も提案を練り直したと聞いています。 特に強調したいのは、若手メンバーが臆せず新しい売り方に挑戦し、その失敗をチーム全体の学びに変えていった姿勢です。一人の成果ではなく、互いに補い合うチームワークがこの結果を生みました。 皆さんの挑戦が、会社全体の次の一歩を後押ししてくれています。本当におめでとうございます。

プロンプト9:社内アンケート 設問 ChatGPT(設問の設計)


従業員エンゲージメント調査の設問を15問設計してください。
測定したい次元:仕事の意義、上司との関係、成長機会、報酬納得感、職場環境
回答形式:5段階リッカート尺度+自由記述2問
注意:誘導的な表現を避ける、回答時間10分以内
出力:質問本文+次元タグ+回答選択肢

出力イメージ(生成結果の例・抜粋)

Q1.[仕事の意義]今の仕事に、やりがいを感じている。 (1 まったく当てはまらない 〜 5 とても当てはまる) Q2.[上司との関係]上司は、私の意見に耳を傾けてくれる。 (1 〜 5) Q3.[成長機会]この職場では、自分のスキルを伸ばす機会がある。 (1 〜 5) Q4.[報酬納得感]自分の仕事内容と、待遇のバランスに納得している。 (1 〜 5) (自由記述)Q14. 働きやすさを高めるために、改善してほしい点があれば教えてください。

プロンプト10:人事 ChatGPT 議事録(会議メモの要約)


以下の会議メモから、人事会議の議事録を作成してください。
会議名:月次の人事定例
出力構成:日時・出席者/決定事項/検討中の事項/次回までのアクション(担当と期限)
注意:個人名は伏字(Aさん・B課長など)、発言の事実だけを簡潔にまとめる
<会議メモ>
・採用:エンジニア中途、応募が想定より少ない。媒体を見直す方向でB課長が再検討
・評価:新評価制度、来期から試行。説明会を全社で2回開催する
・労務:在宅手当の追加が決定。来月の給与から反映
・次回:来月の第2火曜

出力イメージ(生成結果の例・抜粋)

■ 月次人事定例 議事録 日時:○月○日/出席者:Aさん、B課長 ほか3名 【決定事項】 ・在宅手当の追加を正式決定。来月支給分の給与から反映する。 ・新評価制度を来期から試行。全社説明会を2回開催する。 【検討中の事項】 ・エンジニア中途採用の応募数が想定を下回っており、募集媒体の見直しを進める。 【次回までのアクション】 ・募集媒体の再検討(担当:B課長/期限:次回会議まで) ・評価制度説明会の日程確定(担当:Aさん/期限:今月末) 【次回】来月 第2火曜

個人情報を入れない安全配慮|人事データの扱いとプラン選び

結論として、個人を特定できる情報は伏字化したうえで、業務で恒常的に使うなら ChatGPT Business(旧 Team)以上の法人プランが安全です。

ChatGPT Business(2025年8月29日にTeamから改称)は、ビジネスデータをモデル学習に使わないことが既定で、SCIM・ロールベースアクセス制御などのセキュリティ機能が含まれます。料金は、2026年4月2日にOpenAIがサブスク型のシート単価を月5ドル引き下げたことで、年額契約で1ユーザーあたり月20米ドル、月額契約で月25米ドルとなり、標準シートは最低2ユーザーからの利用です(出典:ChatGPT 料金ページ)。

人事業務での実務的なルール:

  1. 氏名・社員ID・連絡先は伏字:プロンプトに入れるときは「Aさん」「B課」等に置換
  2. 評価データ・給与情報は原則投入しない:草案づくりに必要な構造(観点・強み・改善点)だけを抽象化して入れる
  3. 生成結果は人間が必ず再確認:差別的表現・誤情報・社内ルール違反を排除
  4. 社内承認:人事部内の AI 利用方針と整合させ、情シスと事前に運用合意

自分で11個目のプロンプトを作る公式は?(求人票・評価コメント以外にも応用)

結論として、「役割・対象・観点・トーン・形式」の5要素を組み立てるだけです。

公式:


私は[役割:人事担当 等]です。
対象:[誰向けの文書か/どの業務か]
観点:[必ず触れるべき項目・評価軸]
トーン:[誠実/フラット/親しみ/公式 など]
形式:[構成・段落数・文字数の目安]
注意点:[避けたい表現・差別配慮・個人情報の扱い]

この型に当てはめれば、自社特有の人事業務(オファーレター、内定辞退時の返信、休職復帰面談メモ等)にも応用できます。プロンプト設計の原則は プロンプトエンジニアリング入門 で4要素フレームとして解説しています。

経産省「AI事業者ガイドライン」と人事業務の関係は?

結論として、人事のAI活用は「高リスク領域」として扱われる場面が増えており、ガイドライン準拠の運用設計が前提になりつつあります

総務省・経済産業省は2026年3月31日に「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」を公表しました。本編で示される基本理念と指針は、AIの開発者・提供者・利用者すべてに関わる行動規範として整理されています。第1.2版では、AIに任せきりにせず人間が関与する「Human-in-the-Loop」の考え方が一段と強調されています。

人事業務で特に注意したい論点:

  • 採用・評価のAI活用:海外(EU AI Act)では高リスクシステムとして位置付けられており、日本でも同等の慎重さが求められる流れです
  • 説明可能性:候補者・社員から「なぜこの結果か」と聞かれたとき、AI出力をそのまま根拠とせず、人間が判断ロジックを説明できる状態を保つ
  • モニタリング:生成プロンプトと出力結果のログを社内で保管し、誤用・偏りを定期点検する

ChatGPTは「草案づくり」のレイヤーで使い、「採否・評価ランク・処遇」の意思決定は人間が行う、という線引きを社内ルールに明文化しておくのが安全です。

よくある質問

Q1. 無料版のChatGPTでも人事業務に使えますか?

文体・章立ての練習用としては可能です。ただし業務として使う場合、機能制限・データ保護の観点から ChatGPT Plus 以上、社内利用なら Business(旧 Team)以上が現実的です(参考:ChatGPT 料金ページ)。

Q2. 候補者の履歴書をそのまま貼り付けてもいいですか?

原則NGです。氏名・連絡先・現職企業名等を伏字化したうえで、評価したい観点だけを構造化して投入してください。

Q3. ChatGPTが書いた評価コメントをそのまま使っても問題ない?

そのまま使うのは避けます。「3案出して」と依頼し、自分の言葉で書き直す運用が安全です。最終的な評価責任は人間の上司にあります。

Q4. 人事会議の議事録をChatGPTにまとめさせても大丈夫ですか?

会議メモを渡して構造を整えてもらう使い方は有効です。ただし個人名・処遇・人事評価に関わる固有情報は伏字にし、出力後に事実関係を必ず確認してください。録音データの文字起こしを外部サービスに通す場合は、データ保護の観点から法人プランと社内ルールの確認が前提です。

Q5. 模擬面接の練習も人事業務で使えますか?

採用前の質問設計や、社内の面接官研修に使えます。候補者の練習支援は ChatGPT模擬面接プロンプト 転職対策 で詳しく解説しています。

Q6. 他のAI(Claude・Gemini・Copilot)との使い分けは?

文章草案はChatGPT、長文要約はClaude、Google Workspace連携はGemini、Microsoft 365連携はCopilotが目安です。詳細は 4AI比較 で整理しています。

まとめ

  • 人事業務の「文章生成・要約・草案作成」はChatGPTで効率化しやすい領域です
  • 10シーンのプロンプトをコピペで使うだけで、即日効果が出やすい設計です
  • 個人情報は伏字、業務利用はChatGPT Business以上、最終判断は人間が担う三原則を守ります
  • AI事業者ガイドライン(第1.2版)に準拠し、採用・評価の意思決定は人間が説明可能な形を保ちましょう

最新の料金プラン・モデルはOpenAI公式のChatGPT 料金ページでご確認ください。本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。